かけ金の真赤に錆て 寒哉
夕月や御煤の過し善光寺
是がまあつひの栖か雪五尺
ほちやほちやと雪にくるまる在所哉
納豆の糸引張て遊びけり
はつ雪や俵のうへの小行灯
人のためしぐれておはす仏哉
死にこぢれこぢれつつ寒かな
盛任が横面たたくあられ哉
菴の夜は餅一枚の明り哉
炉開やあつらへ通り夜の雨
せき候にけられ給ふな迹の児
下町に曲らんとして鐘氷る
蛬其大根も今引くぞ
霜がれや新吉原も小藪並
上置の干菜切れとや夕千鳥
御地蔵と日向ぼこして鳴ち鳥
おち葉してけろりと立ちし土蔵哉
似合しや女坂下る帋衣達
はつ雪やといへば直に三四尺
戸口までづいと枯込野草哉
雪ちるやきのうは見へぬ借家札
衾から顔出してよぶ菜うり哉
淋しさやおち葉が下の先祖達