和歌と俳句

大根引き

芭蕉
鞍壺に小坊主乗るや大根引

涼菟
はち巻を角にむすぶや大根引

支考
伊吹には雪こそ見ゆれ大根引

北枝
骨折に一本かむや大根引

千代女
道くさの草にはおもし大根引

也有
其寒さ煮て取かへせ大根引

也有
霜を踏む世わたり辛し大根引

太祇
道ばたの天秤棒や大根引

一茶
丘の馬の待あき顔や大根引

一茶
大根引一本づつに雲を見る

一茶
蛬其大根も今引くぞ

一茶
大根引大根で道を教へけり

一茶
菴の大根客有度に引れけり

鬼城
大根引馬おとなしく立眠り

石鼎
百姓の頸くぼ深し大根引き

石鼎
橋くゞる舷長し大根船

泊雲
大根積むやぐいと曳きあぐ馬の面

石鼎
霜の葉を切り落しては大根ぬく

風生
山門を通りぬけけり大根馬

風生
腹当の吉といふ字や大根馬

淡路女
鉢巻をとつて会釈や大根引

茅舎
たらたらと日が真赤ぞよ大根引

茅舎
大根引身を柔らかに伸ばしけり

虚子
吾も老いぬ汝も老いけり大根馬

虚子
老い朽ちて子供の友や大根馬

虚子
嘶きてよき機嫌なり大根馬

虚子
大根を鷲づかみにし五六本

不死男
大根引く黒子の鴉従へて