その中に唯の雲あり初時雨
はつしぐれ何所やら竹の朝朗
はつ時雨見に出た我は残りけり
はつ時雨野にととのふたものは水
まだ鹿の迷ふ道なり初しぐれ
京へ出て目にたつ雲や初時雨
初しぐれ京にはぬれず瀬田の橋
初しぐれ水にしむほど降にけり
初しぐれ風もぬれずに通りけり
晴てから思ひ付けりはつしぐれ
草は寝て根にかへりけり初しぐれ
眺めやる山まで白しはつ時雨
田はもとの地に落付や初時雨
日の脚に追はるる雲や初時雨
柳には雫みじかしはつ時雨
露はまた露とこたえて初しぐれ
初霜や蔦の手につき足につき
茶のはなや此夕暮を咲のばし
茶の花やかかる日脚を咲のばし
茶の花や此朝夕を咲のばし
山茶花や土気はなれて雪のいろ
道くさの草にはおもし大根引
似た事の三つ四つはなし小六月