吹風のはなればなれやふゆ木立
冬木立あはれ一木の名のみこそ
さそふ水もなくてかくまでかれ柳
冬枯やひとり牡丹のあたたまり
ともかくも風にまかせてかれ尾花
根は切で極楽にあり枯尾ばな
降ものに根をそそぎたる蕪哉
手のちからそゆる根はなしかぶら引
いろいろを石に仕あげてかれの哉
枯野行人や小さう見ゆるまで
行あたり道や枯野の広きより
行あたる枯野の道の広きより
鷺の雪降さだめなき枯野哉
入相に雫もちらぬ枯野かな
又咲ふとはおもはれぬ枯野かな
何事も筆の往来や冬籠
花にとは願はず雪のみそさざゐ
鷹の目にこぼれものありみそさざゐ
竹の音まるける頃やみそさざゐ
こぼれては風拾ひ行鵆かな
そちゆへの寝覚ではなし啼千鳥
つれに落て立横に啼や小夜千鳥
なにごとのあつて細江の千鳥哉
みななかばみみにふたせん小夜千鳥
起てゆく跡へそれほど千島哉