旅に病んで夢は枯野をかけ廻る 芭蕉
蟷螂の尋常に死ぬ枯野哉 其角
血のつきし鼻紙さむき枯野哉 許六
酒のみて百姓もどるかれ野かな 許六
いろいろを石に仕あげてかれの哉 千代女
又咲ふとはおもはれぬ枯野かな 千代女
四五寸の錦は残る枯野かな 也有
五六羽の鴉下り居る枯の哉 也有
畠にもならでかなしき枯野哉 蕪村
石に詩を題して過る枯野哉 蕪村
三日月も罠にかゝりて枯野哉 蕪村
むささびの小鳥はみ居る枯野哉 蕪村
馬の尾にいばらのかかる枯野哉 蕪村
息杖に石の火を見る枯野哉 蕪村
上京の湯どのに続く枯野哉 召波
七つ子にあふてさびしき枯野哉 白雄
猪の篠根掘喰ふかれ野かな 白雄
意趣のある狐見廻す枯野かな 太祇
塀越の枯野やけふの魂祭 太祇
遠方や枯野の小家の灯の見ゆる 一茶
ざぶりざぶりざぶり雨ふるかれの哉 一茶
野はかれて何ぞ喰ひたき庵哉 一茶
御談義の手まねも見ゆるかれの哉 一茶
五六疋馬干しておく枯野哉 一茶
わら苞の豆麩かついでかれの哉 一茶