和歌と俳句

襟巻き マフラー

衿巻の松にかかるや三穂の海 其角

衿巻に首引入れて冬の月 杉風

襟巻や猪首うづめて大和尚 鬼城

襟巻に一片浮ける朱唇かな 石鼎

肩へはねて襟巻の端日に長し 石鼎

襟巻に顔埋めたる闇路かな 石鼎

襟巻の狐の顔は別に在り 虚子

穴二つ古襟巻に虫の住む かな女

襟巻に深く埋もれ帰去来 虚子

襟巻の厚き母とて子の転ぶ 汀女

襟巻や畜類に似て人の耳 麦南

襟巻深く汝の眼瞑みたり 友二

襟巻きの中からのぞく夕日山 普羅

襟巻につつみ余れる杣の顔 普羅

えり巻を外せばしるき能登言葉 普羅

手術附添黒襟巻に頚つつみ 波郷

屍行き紅襟巻の夫人蹤く 波郷

透く林紅襟巻の遠く垂れ 波郷

舟の子の襟巻紅し小名木川 波郷

襟巻にふつつりつぐむ思ひかな 汀女

伯林の時の襟巻いまは派手 青邨

人形の手に正札や銀狐 立子

マフラアの業平格子老の伊達 風生

堂を出づ旅の襟巻巻きみだし 爽雨

襟巻や嵯峨に残んの田あり立つ 爽雨