和歌と俳句

杉山杉風

我目には師走八日の空寒し

枯はてゝ霜にはぢずやをみなへし

両の手に朝茶を握る寒さかな

原中やうしろ歩みに冬のかぜ

羽折かさむ月にかかれる村時雨

雪の日は年のいそぎも忘れけり

一塩にはつ白魚や雪の前

衿巻に首引入て冬の月

年のくれ破れ袴の幾くだり

初雪やふところ子にも見する母

雪の松おれ口みれば尚寒し

菊刈や冬たく薪の置所

いつ喰ふて落る木葉の虫の穴

にも怪我せぬ雀かしこさよ

つめたさの身にさし通す冬の月

碁にまけてつれなく見ゆる時雨

に何やら一羽寒げなり

影むらさきを染なす旭かな

其影の木葉に薄し三日の月

このくれも又くり返し同じ事

餅きりに残らぬ年の仕舞かな

大歳も雀の遊ぶ垣ほかな

燈に花咲けりな明日の春

晴天も猶つめたしや寒の入

春待や根越の芭蕉雪がこひ