和歌と俳句

手袋

編み手袋のほぐるればほぐす 碧梧桐

手袋をはめ終りたる指動く 虚子

大いなる手袋忘れありにけり 虚子

もかもかの手袋に手をつかまれし 亞浪

手袋をぬぐ手ながむる逢瀬かな 草城

手袋をとりたての手の暖かく 立子

ペンだこに手袋被せてさりげなく しづの女

妹ゆ受けし指環の指を手袋に 草田男

衰運の卦の手袋を落しけり 万太郎

手袋の十本の指を深く組めり 誓子

手袋の紅き手振りて歩きけり 草城

月光が皮手袋に来て触るる 青邨

手袋や母情華やぐ席隣る 友二

手袋の手をつき憩ふ砂の丘 波津女

手袋やいま薬莢を拾ひつも 波郷

雪白の手袋の手よ善き事為せに 草田男

十指の癖一と冬過ぎし手袋ぬぐ 多佳子

手袋の手をつなぎあふ親子かな 鈴木真砂女

妻編みし手袋ゆるむ右左 不死男

手袋と紙幣使はずして病めり 節子

急坂半ば手袋拾ひ易かりし 草田男

手袋にかくさざりし手つとひらく 楸邨