縄帯の倅いくつぞ霜柱 一茶
大寺や庭一面の霜柱 虚子
土ともに崩るる崕の霜柱 子規
枯れ尽す菊の畠の霜柱 子規
日暮里に下宿屋を探り霜柱 碧梧桐
道と見えて人の庭踏む霜柱 碧梧桐
生垣や人侘びて庭に霜柱 碧梧桐
ほきとをる下駄の歯形や霜柱 漱石
晶子
霜ばしら冬は神さへのろはれぬ日ごと折らるるしろがねの櫛
苔青き踏むあたりにも霜柱 碧梧桐
晶子
霜ばしら冬ごもりして背子が衣縫へと持てきぬしろがねの針
掃きすてし今朝のほこりや霜柱 虚子
原宿に今は住みつき霜柱 風生
麦の芽の土をもたげて霜柱 泊雲
霜柱土を越してゐたりけり 石鼎
霜ばしら選佛場をかこみけり 茅舎
霜柱ひつこぬけたる長さかな 茅舎
霜柱そだちし石のほとりかな 茅舎
白秋
男の童 ちちの杖とり 犇とうつ 霜柱しろし 此の霜ばしら
白秋
こごり立ち しづけかりしか ひた乾く 地膚はららかし 踏む霜ばしら
霜柱ふみ荒されて真白に 立子
こちこちと霜柱つく杖の音 立子
白秋
男の童の杖とり犇とうつ霜柱しろし此の霜ばしら
霜柱崖は毛細根を垂り 茅舎
霜柱俳句は切字響きけり 波郷
わが家の門の寒さよ霜柱 杞陽
霜柱それもやがては眼に馴れて 杞陽
霜柱枕辺ちかく立ちて覚む 誓子
霜柱踏み折るごとく世を経にし 楸邨
地に伏せし身のまはりみな霜柱 楸邨
霜柱白し東京を去る人等 楸邨
霜柱身をかこむ闇ふかかりき 楸邨
霜柱踏み折る音の過ぎにけり 楸邨