病む人の病む人をとふ小春哉
うれしくば開け小春の桜花
菊の香や月夜ながらに冬に入る
霜月の野の宮残る嵯峨野哉
気楽さのまたや師走の草枕
漱石が来て虚子が来て大三十日
梅活けて君待つ菴の大三十日
薔薇の花此頃絶えし寒さ哉
旅籠屋の我につれなき寒さ哉
又例の羅漢の軸の寒さ哉
寒き日を書をもてはひる厠かな
寒けれど不二見て居るや阪の上
石垣や松這ひ出でて水寒し
めでたさに袴つけたる寒さ哉
月影や外は十夜の人通り
眼鏡橋門松舟の着きにけり
馬の尻に行きあたりけり年の市
煤払や神も仏も草の上
煤はいて蕪村の幅のかかりけり
煤はきのここだけ許せ四畳半
仏壇に風呂敷かけて煤はらひ
千年の煤もはらはず仏だち
死にかけしこともありしか年忘れ
炉開や叔父の法師の参られぬ