正岡子規

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死にかけしこともありしか年忘れ

炉開や叔父の法師の参られぬ

巨燵から見ゆるや橋の人通り

人もなし巨燵の上の草双紙

文机の向きや火桶の置き処

化物に似てをかしさよ古火桶

鋸に炭切る妹の手ぞ黒き

冬ごもり達磨は我をにらむ哉

冬ごもり世間の音を聞いて居る

冬ごもり煙のもるる壁の穴

雲のぞく障子の穴や冬ごもり

琴の音の聞えゆかし冬籠

人病んでせんかたなさの冬ごもり

冬籠書斎の掃除無用なり

手凍えて筆動かず夜や更けぬらん

無精さや蒲団の中で足袋をぬぐ

白菊の少しあからむ時雨

稲掛けて神南村の時雨哉

しぐるれど御笠参らすよしもなし

金殿のともし火細し夜の

とうげより人の下り来る吹雪哉

つらなりていつつも丸し雪の岡

山里や雪積む下の水の音

雪ながら山紫の夕かな

庭の雪見るや厠の行き戻り

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