煤はきは己が棚つる大工かな
ありあけも三十日にちかし餅の音
盗人に逢ふたよも有年のくれ
初時雨初の字を我時雨哉
袖の色よごれて寒しこいねづみ
分別の底たたきけり年の昏
古法眼出どころあはれ年の暮
かりて寐む案山子の袖や夜半の霜
夜すがらや竹こほらするけさのしも
おさな名やしらぬ翁の丸頭巾
須磨の浦の年取ものや柴一把
雑水に琵琶きく軒の 霰哉
うとまるる身は梶原か厄払
木枯やたけにかくれてしづまりぬ
せつかれて年忘するきげんかな
旅に病で夢は枯野をかけ廻る