貧山の釜霜に啼声寒し
氷苦く偃鼠が咽をうるほせり
くれくれて餅を木魂のわびね哉
世にふるもさらに宗祇のやどり哉
夜着は重し呉天に雪を見るあらん
あられきくやこの身はもとのふる柏
琵琶行の夜や三味線の音霰
宮守よわが名をちらせ木葉川
いかめしき音や霰の檜木笠
冬牡丹千鳥よ雪のほととぎす
明ぼのやしら魚しろきこと一寸
あそび来ぬふく釣かねて七里迄
鰒釣らん李陵七里の浪の雪
馬をさへながむる 雪の朝哉
しのぶさへ枯て餅かふやどり哉
かさもなき我をしぐるるかこは何と
狂句こがらしの身は竹斎に似たる哉
草枕犬も時雨るかよるのこゑ
市人よ此笠うらふ雪の傘
雪と雪今宵師走の名月歟
海くれて 鴨のこゑほのかに白し
年暮ぬ笠きて草鞋はきながら
黒森をなにといふともけさの 雪
火を焚て今宵は屋根の霜消さん