和歌と俳句

炭 太祇

玄関にて御傘と申時雨

濡にける的矢をしはくしぐれ哉

しぐる ゝや筏の悼のさし急ぎ

中窪き径わび行落葉かな

米搗の所を替る落葉哉

冬枯や雀のありく戸樋の中

炉開や世に遁たる夫婦合

川澄や落葉の上の水五寸

達磨忌や宗旨代々不信心

おどらせぬむすめ連行十夜

夜歩行の子に門で逢ふ十夜かな

莟しはしらでゐにけり帰花

京の水遣ふてうれし冬ごもり

身に添てさび行壁や冬籠

僧にする子を膝もとや冬ごもり

来て留守といはれし果や冬籠

それぞれの星あらはるゝさむさ

活僧の蒲団をたゝむ魔風哉

足が出て夢も短かき蒲団かな

人ごゝろ幾度河豚を洗ひけむ

死ぬやうにひとは言也ふくと汁

鰒喰ふて酒呑下戸のおもひかな

鰒売に喰ふべき顔とみられけり

河豚喰し人の寐言の念仏かな

意趣のある狐見廻す枯野かな