暁のつくはたつたや寒念仏 其角
あの声の撞木は細し寒念仏 支考
細道になり行声や寒念仏 蕪村
極楽の近道いくつ寒念仏 蕪村
無縁寺の夜は明にけり寒ねぶつ 召波
茶を申をうなの声や寒念仏 召波
川筋や千鳥にかする寒念仏 青蘿
鳥辺野にかゝる声なり寒念仏 子規
雨に雪霰となつて寒念仏 漱石
忌みこもる報謝もらさじ寒念仏 爽雨
物買へる我の後ろに寒念仏 立子
懐炉ふく一人の顔や寒念仏 爽雨
寒念仏倒れし橇に灯あげをり 爽雨
ちりひぢの袖のふるびや寒念佛 蛇笏
布施ごとに雪ふかみゆく寒念仏 爽雨
鎌倉はすぐ寝しづまり寒念仏 たかし
寒念仏ひびくやひびきくるもの佳し 多佳子
昼となく夜となく立ちて寒念仏 槐太
寒念仏追ひくる如く遁げゆく如く 多佳子
京二条寒念仏はこの小路 貞
寒垢離の簑に雪見る袖もなし 支考
寒垢離の風に乗行歩ミ哉 召波
寒垢離や上の町まで来たりけり 蕪村
寒ごりやいざまいりそふ一手桶 蕪村
寒ごりに尻背けたるつなぎ馬 蕪村