和歌と俳句

皆吉爽雨

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

松活けて瓶腹太し冬の宴

雪晴の窓まばゆさや煖炉たく

外套や闇の尾曳いて灯に出でぬ

枯草や水たまりゐるころげ壜

ほつれ毛に雪片ゆれてかかりけり

荷を解くや縄屑炉火に燃やしつつ

纜むすぶ沈める杭や水の冬

時雨るるや芝に小さき蔦紅葉

月暈の中を雲とぶ時雨かな

庭落葉掻きおさへ置く熊手かな

餅搗や竈火明りにこぼれ米

時雨るるや人かたことと軒宿り

菊枯るる鉢のはざまを掃きにけり

霜晴の障子ひびかせはかきけり

今の間に風邪声となり火桶抱く

ほそぼそと枯れそろうたる掛菜かな

忌みこもる報謝もらさじ寒念仏

くさめ聞く寒さうつりや十夜堂

仏壇を灯す孤影や除夜の母

つむや荒瀬が中のかかり枝

凍て仏飯さげてすませし朝餉かな

ささ鳴や頂上ちかき雪解道