和歌と俳句

星野立子

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凍て鶴にとどく日ざしもしりぞきぬ

雨戸樋に大きな音や寒雀

電話口咳して兄の出てきたり

咳の人と向ひあはせしバス込める

楽屋口水の江滝子ジャケツきて

風邪の子に日々の外出の土産もの

ひと掻きにすぐ積む落葉焚きにけり

やはらかき日ざしも時雨日和かな

汽車窓に和歌の浦あり時雨れをり

時雨るるや小原女道を掃き急ぐ

枯萩と欅の空と細やかに

供養菊持ち北風に吹かれ立つ

煖炉の灯ちろちろうつり菓子ケース

人形の手に正札や銀狐

歳晩銀座遊覧バス通る

奈良坂のほか坂多し奈良

寒くなれば篝にも立ち除夜の鐘

早梅に歩みよりゆく影法師

北風や外出の心さらになく

北風や静かな部屋に客とをり

床の間に炭斗置きて掃除かな

つつましく咳する人に煖炉もゆ

霙るるや子をかばひゆく軒づたひ

ストーヴや我が身静かに椅子にうもれ

凍蝶にかがみ疲れて立上がる