和歌と俳句

星野立子

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寺の鐘夏木立より響きくる

夏になれば庭狭くなり百合も咲き

東京より持て来し汗に桑涼し

草深く見ゆる紫夏桔梗

凌霄花に沈みて上るはね釣瓶

百合咲きて山あちこちと立ち並び

晩涼やいつしか濃ゆき海の藍

山門の風が涼しやラムネ店

簀戸越しのちらちら西日ラムネ冷え

バス降りて主人帰るや避暑の宿

ほこほこと埃の畑や炎天下

稲妻や松に花置く烏瓜

再びの病にかちて薄暑きし

あぢさゐの毬の日に日に登校す

床の間にあけび生けあり黴の宿

夏痩の帯巾広くしめにけり

いき曳きて何の鳥なく梅雨の木々

緑蔭に吾子の帰りを跼に待ち

疲れたる目に夏帽の影よぎり

雨上りみな田植笠畦に置き

水打てばあちらこちらに水柱

片蔭となりたる川にもどり舟

築地河岸出て台場見え船あそび

海風に吹かれ疲れぬ雲の峰

馳けてゆく水際遠し雲の峰