和歌と俳句

若竹

垣根やぶる其の若竹を垣根かな 素堂

昼鐘や若竹そよぐ山づたひ 丈草

家建てまた若竹のそよぎかな 土芳

さし肩に羽織の風や今年竹 野坡

ことし竹も淋しき秋の始哉 路通

若竹や道のふさがる客湯殿 浪化

しばらくは風のちからや今年竹 千代女

若竹や押合ふくさも添はなれ 千代女

風毎に葉を吹出すやことし竹 千代女

若竹や夕日の嵯峨となりにけり 蕪村

若竹や是非もなげなる蘆の中 蕪村

若竹や暁の雨宵の雨 蕪村

若竹に蝿のはなれぬ甘ミ哉 召波

わか竹は月に養ふけしきかな 暁台

若たけや一字の灯深からず 暁台

わか竹や牛のゆく筋あらしふく 白雄

若竹や数もなき葉の露の数 太祇

若竹に月のうすものかづけけり 青蘿

わか竹や山はかくれて入間川 一茶

曙覧
稀にきてすがる小鳥のちからにもひしがれぬべく見ゆる若竹

曙覧
風ふけばかよりかくよりまろび落る露もなまめく雨の若竹