和歌と俳句

若竹

故園荒る松を貫く今年竹 虚子

てのひらの来て握りたる今年竹 草城

今年竹かなしきばかりあをあをと 草城

濃かにしてしづかなる今年竹 草城

今年竹切りしがかぐや姫も出ず 鷹女

税の重さよ夢の遠さよ今年竹撓ふ 楸邨

禅林の森を若竹抽きて見ゆ 爽雨

若竹のいま枝々を噴くところ 爽雨

若竹に緑苔光うしなへり 秋櫻子

今年竹野をゆく声と照られをり 源義

先住の尼ぜなつかし今年竹 立子

今年竹雲湧けどまだ峯なさず 林火

朝日の渦けぶりやまずよ今年竹 林火

縞なして雨移るなり今年竹 林火

観音の千手を今年竹も持つ 誓子

味爽の闇あをあをと今年竹 林火

今年竹みな頭を垂れて伏し拝む 誓子