涅槃図に継ぎ目涅槃を継ぎ合はす
海上に街道のあり烏賊火点け
雷ひびく底津岩根の底にまで
青藻にて青し造船所のレール
着陸す高稲架築地松の地に
天高く遠流の遠を飛びて来し
高稲架の壁に出入の潜り門
限度まで庇の雪の乗り出せり
初凪に岬燈台白一指
胴太の神馬を佳しと初詣
禅寺にあり柄の紅き雪ショベル
鴨帰る勿れ白山白きうち
桜さく前より紅気立ちこめて
真黒に土堤焼かれて水湛ふ
九頭龍の谷残雪も多頭龍
青牧の牛馬に「火山活動中」
あぢさゐの落花は陶の破片なり
龍宮の門南風を奉る
涼しくて寄る海廊の朱の柱
ひぐらしが下界に鳴けり皇子のため
透明の氷塊四つ部屋に伐る
富士山に生れて死ぬる黒ばつた
喧嘩祭土の桟敷に酒の壜
喧嘩神輿宝珠と宝珠ぶつけ合ふ
喧嘩していまは宝珠の無き神輿