東駒に西駒のひだの深くに残る雪 碧梧桐
残る雪大方は消えて杉の中 石鼎
あはあはと西日さしたり残る雪 草城
愛別といふ邑過ぎぬ残る雪 風生
茂吉
あふみの海いまだ寒しと比良山に消のこる雪は見らくしよしも
残雪の今はぽつちりとあるばかり 青邨
打ち離れ枯菊の辺に残る雪 たかし
茂吉
橡の樹の根がたに落葉たまりをりそこに僅かに雪ぞのこれる
石上に廓然と雪残りをり 茅舎
残雪の上の日南の木影かな 石鼎
雪残る汚れよごれて石のごと たかし
竹山に残雪沈み見ゆるかな たかし
雪のこる家のまはりとも思ひ臥す 石鼎
家かげの永久なるところ雪のこる 石鼎
岸草に残る雪あり一つづり たかし
>残る雪ふたとこみとこ踏みて訪ふ 青邨
美しく残れる雪を踏むまじく 虚子
残雪や雲に消えゆく伊賀の道 楸邨
残雪のぬれぼとけみえ人出みえ 万太郎
残る雪ラジオの楽のみな消ゆる 誓子
残雪や線消えかけし渾天儀 楸邨
残雪やひきよせてよむ杜少陵 楸邨
残雪に北斗のふれんばかりなる 楸邨
残雪に雨さうさうと機影なし 楸邨
残雪に雨こそそそげ蕭々と 楸邨
残雪や双手握りに書と靴と 楸邨
消えがての雪や月夜を重ねけり 波郷