和歌と俳句

実朝忌

我が椿いたむる雪や実朝忌 たかし

まぼろしの大きな船や実朝忌 草城

庭掃除して梅椿実朝忌 立子

山椿撰び折り来て実朝忌 たかし

うち仰ぐ空は真青で実朝忌 立子

病む窓に伊豆の海あり実朝紀 蕪城

鎌倉に実朝忌あり美しき 虚子

寿福寺はおくつきどころ実朝忌 虚子

実朝忌油井の浪音今も高し 虚子

松籟のむさしぶりかな実朝忌 波郷

日洩れ来し谷を急ぎて実朝忌 波郷

村ぬちに霞ふるなり実朝忌 耕衣

紅顔の人等つどへり実朝忌 青邨

和田塚のほとりに住みて実朝忌 虚子

子を失ひし母われけふを実朝忌 

実朝忌春動かむとしてためらふ たかし

死なざりしかば相逢ふも実朝忌 波郷

雪よふれかしつもれかし実朝忌 万太郎

引く波に貝殻鳴りて実朝忌 不死男

海浪の木の間に倒る実朝忌 不死男

しらべよき歌を妬むや実朝忌 青畝

枝重りして咲ける椿や実朝忌 波郷

伊豆にして雹うつ車窓実朝忌 爽雨