和歌と俳句

涼し

涼しさや白衣見えすく紫衣の僧 鬼城

夕風に涼しく撓むポプラかな 草城

涼しさや抜ける衣紋に触れぬ髱 草城

涼しさや錨捲きゐる夜の船 草城

涼しさや蚊遣線香の灯一点 草城

後浪を控へて聳る巌涼し 草城

涼しさや払子さはらぎなびかして 青畝

宗鑑の墓に花無き涼しさよ 虚子

夜涼かな酔眼に甲比丹遊興図 誓子

湯あがりのどこやら濡れてすずしさよ 草城

鼻のあなすずしく睡る女かな 草城

涼しさや夕襞できし比枝の山 播水

涼しさや大津灯りし水の上 播水

涼しさや夕わだつみの色かはる 播水

白樺の道なりければ空涼し 秋櫻子

ふと涼ししきゐを越ゆる仁王門 草田男

寝し町の涼しさ尽きず月光り 波郷

船涼し己が煙に包まれて 虚子

大寺の柱の下の涼しさよ 虚子

海すゞし冬の壁炉は部屋にある 誓子

雨のすぢ太きが走る灯の涼し 汀女

船涼し左右に迎ふる対馬壱岐 虚子

大山門涼し群雀静まらず 茅舎

涼しさや沙弥も不逞の面構へ 茅舎

夜の涼しさ燈台迫門に照りて消ゆ 誓子

夜の涼しさ関門に繋る船を見ず 誓子

枝鳴らし下りくる猿や夕涼し 青邨

銀杏の根床几斜に茶屋涼し 虚子

島々に名札立ちたる涼しさよ 虚子

終の駅夜涼遠近の区にネオン 誓子

駅の声夜涼に絶えていつか寝る 誓子

突風の涼しさは子の高笑ひ 汀女

涼しけれ歩廊とどまる人もなく 汀女

石段を登り漁村の寺涼し 虚子

遠の灯の名ををしえられ居て涼し しづの女

涼しけれ一人旅する手を洗ひ 汀女

涼しさに眼鏡の端の星流る 誓子

すずしさに水の走れる甕に杓 誓子