和歌と俳句

紫陽花 四葩

紫陽花の大きな毬の皆褪せし たかし

牧水
紫陽花の 花をぞおもふ 藍ふくむ 濃きむらさきの 花のこひしさ

迢空
あぢさゐの花の盛りの かくありし 河岸道来つる 幾年なりけむ

紫陽花や朽ちたるごとく家ありぬ 青邨

風鈴も四葩の毬も去年のまま 風生

紫陽花にもの音とてはなかりけり 風生

濯ぎ場に紫陽花うつり十二橋 秋櫻子

墓に紫陽花咲きかけてゐる 山頭火

紫陽花もをはりの色の曇つてゐる 山頭火

墓へも紫陽花咲きつづける 山頭火

日中の微雨きりきりと四葩かな 蛇笏

雨に剪る紫陽花の葉の眞青かな 蛇笏

水葬の夜を紫陽花は卓に満つ 蛇笏

紫陽花や隣の謡杜若 喜舟

泳ぎつつ人紫陽花にかくれけり 秋櫻子

紫陽花のここのみ古き門辺かな 秋櫻子

紫陽花を隠し干衣の滴かな 石鼎

紫陽花や夫を亡くする友おほく しづの女

明けて葬り昏れて婚りや濃紫陽花 しづの女

あぢさゐの花より懈くみごもりぬ 鳳作

あぢさゐの毬より侏儒よ駆けて出よ 鳳作

紫陽花の毬の日にひに登校す 立子

船旅の燈にマドンナと濃紫陽花 蛇笏

紫陽花の藍きはまると見る日かな 汀女

赤門は古し紫陽花も古き藍 青邨

籐椅子に看とり疲れや濃紫陽花 久女

紫陽花や別れて来る言一句 波郷

あぢさゐの黄なるを嘆くにもあらず 誓子

大学のなかのあぢさゐの咲けるみち 万太郎

ゆあみして来てあぢさゐの前を過ぐ 誓子