和歌と俳句

種田山頭火

前のページ< >次のページ

禁札の文字にべつたり青蛙

このみちや合歓の咲きつづき

つきあたつて蔦がからまる石仏

いそいでもどるかなかなかなかな

暮れてなほ田草とるかなかな

穂すすきへけふいちにちの泥を洗ふ

月あかり撰りわける夏みかんの数

山の夏みかんもぐより売れた

朝は涼しい茗荷の子

はだかではだかの子をだいてゆふべ

紫陽花もをはりの色の曇つてゐる

ゆふ雲のうつくしさはかなかなないて

墓へも紫陽花咲きつづける

泣いてはなさいが鳴きさわぐ

水瓜ごろりと垣の中

つゆけくもせみのぬけがら

朝曇朝蜘蛛ぶらさがらせてをく

押売が村から村へ雲の峰

炎天のポストへ無心状である

とんぼくはえてきた親つばめ子つばめ

あをむけば蜘蛛のいとなみ

日ざかり、われとわがあたまを剃り

どうしてもねむれない夜の爪をきる

更けてさまよへばなくよきりぎりす

旅のこころもおちついてくる天の川まうへ

夾竹桃、そのかげで氷うりだした