寺の門出て苗売に逢へりけり 万太郎
大学のなかのあぢさゐの咲けるみち 万太郎
銀杏散るまつただ中に法科あり 青邨
本を読む三四郎いまも冬の園 青邨
初秋の柳が末の湯島かな 子規
梅咲くや湯島の社頭春浅し 虚子
迢空
まゐり来て、とみに あかるき世なりけり。町家の人の その顔 がほ
みじか夜の夜っぴてついてゐる灯かな 万太郎
梅雨ふかき鏡花ゆかりの地なりけり 万太郎
げに今日や祭ばんてん祭足袋 万太郎
猿飴の湯島の宮の七五三 秋櫻子
泰山木くだつ霖雨や通し鴨 水巴
芽吹く枝数奇屋の簷も苔あをし 秋櫻子
朝さくら靄より垂れし門を入る 秋櫻子
いつ替へし数奇屋の障子石蕗咲ける 秋櫻子
名園の冬木の手入打晴れて たかし
日曜やけふ菊による人の蟻 子規
賑かに都の秋の日和かな 子規
団子坂上り下りや鴎外忌 虚子