和歌と俳句

鶴岡八幡宮

徘徊す蓮あるをもて朝な夕な 漱石

子規
鎌倉の 八幡の宮に 今もある 銀杏の老木 人かくるべし

子に破魔矢持たせて抱きあげにけり 立子

石段に一歩をかけぬ初詣 虚子

杉戸閉ぢ蔀戸下りて野分かな たかし

大木の揉まれ疲れし野分かな たかし

もの書ける禰宜の夜長を垣間見し たかし

巫女舞をすかせ給ひて神の春 虚子

神の矢のましろきを受けむ初詣 青邨

簪のゆれつゝ下る初詣 青邨

古馬車を拾ひ得たりや初詣 たかし

古馬車に痩馬つけて御者の春 たかし

参道の遠賑はひに梅の茶屋 たかし

晝顔の花もとび散る籬を刈る 虚子

蚊遣火のなびけるひまに客主 虚子

参詣の人に俄かな花の雨 虚子

木蔭なる池の蓮はまだ浮葉 虚子