和歌と俳句

稲村ヶ崎

子規
もののふの太刀沈めにし鎌倉の稲村が崎に鴎飛ぶなり

涼しさに海へなげこむ扇かな 子規

七里ヶ浜

晶子
うら淋し浅葱と白のまだらなる七里が浜の秋風のいろ

高徳院 鎌倉大仏

子規
火にも焼けず雨にも朽ちぬ鎌倉の裸佛は常佛かも

子規
見なれにし甍こぼてば大佛は空の真中にあらはれにけり

左千夫
鎌倉の大き仏は青空をみかさときつつ万代までに

左千夫
かまくらの大き御仏をろがめばみのりさかれる時しおもほゆ

左千夫
蒼空を御笠とけせる御仏のみ前の庭にの花さく

晶子
鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな

大仏にはらわたのなき涼しさよ 子規

大佛の俯向き在す春日かな たかし

大仏に到り着きたる時雨かな 虚子

大仏の境内に遠会釈 虚子

冬空を見ず衆生を視大仏 虚子

大仏の冬日は山に移りけり 立子

大仏は鎌倉はづれ夜の雪 たかし

長谷寺

来て見れば長谷は秋風ばかりなり 漱石

東風の空雲一筋に南へ 虚子