積む萱も大破の屋根も時雨れけり
三世の佛皆座にあれば寒からず
ある時は布団のおごり好もしき
旅蒲団軽き恙に熟睡かな
霜降れば霜を楯とす法の城
灰の如き記憶ただあり年暮るる
身一つを先づもたらしぬ雪の國
寒燈に柱も細る思ひかな
眠る山に帰る雲あり南禅寺
霜白き窓外の景に焚く爐かな
各々にそれぞれ古りし火桶かな
能を見て故人に逢ひし師走かな
凍てぬると車の音の聞こゆなり
地球凍てぬ月光之を照しけり
我を迎ふ旧山河雪を装へり
時ものを解決するや春を待つ
水仙を剪りたる日よりみぞれけり
水満てて春待つ石の手水鉢
闇汁の杓子を逃げしものや何
闇汁の闇はろはろと月麩かな
虎落笛子供遊べる聲消えて
喝食の面打ち終へし冬至かな