沙弥満誓
鳥総立て足柄山に船木伐り木に伐り行きつあたら船木を
相模の国の歌
足柄のをてもこのもにさすわなのかなるかしづみ子ろ我れ紐解く
相模の国の歌
我が背子を大和へ遣りて待つしだす足柄山の杉の木の間か
相模の国の歌
百づ島足柄小舟歩き多み目こそ離るらめ心は思へど
相模の国の歌
足柄の土肥の河内に出づる湯のよにもたよらに子ろが言はなくに
相模の国の歌
足柄の麻万の小菅の菅枕あぜかまかさむ子ろせ手枕
相模の国の歌
足柄のみ坂畏み曇り夜の我が下ばへを言出つるかも
俊成
足柄の山の手向に祈れどもぬさとちりかふ花さくらかな
新勅撰集・雑歌 後京極摂政前太政大臣良経
あしがらの せきぢこえゆく しののめに ひとむらかすむ うきしまのはら
子規
足柄の山の櫻をねもごろに見まく思へど汽車とどまらず
子規
后の月足柄山で明けにけり
子規
霧深き足柄山の荷汽車哉
晶子
あしがらの山ふところに流れ入る鉛の質の夕ぐれの雲
迢空
をちこちに 棚田いとなみ、足柄の山の斜面に、人うごく見ゆ
晶子
しら玉の富士を仄かにうつしたる足柄山の頂の雪
晶子
足柄の長尾峠に通ふ道馬の手綱のさまにかかれる
晶子
足柄の山ふところに流れ入る鉛の質の夕ぐれの雲
秋櫻子
足柄の今朝雪かけし椿かな