ゆるぎなき柱の下の雑煮かな
御佛に尼が掛け居るかざりかな
やり羽子や油のやうな京言葉
掃きぞめの帚にくせもなかりけり
子供等に雙六まけて老の春
初鶏や動きそめたる山かづら
たてかけてあたりものなき破魔矢かな
梅を持ち破魔矢を持ちて往来かな
よく笑ふ女禮者や草の庵
羽子をつく娘と孫のおない同志
鎌倉は古き都や注連の内
人々を率てちらばりて初詣
つく羽子の静に高し誰やらん
描初の壺に仲秋の句を題す
子の日する昔の人のあらまほし
石段に一歩をかけぬ初詣
餅花の賽は鯛より大きけれ
巫女舞をすかせ給ひて神の春
腰まげて後ろ手に杖老の春
大濤にをどり現れ初日の出
神近き大提灯や初詣
仰ぎて嗽ひ伏して手洗ひ初詣
石段の伸び行くがごと初詣
神慮いま鳩をたゝしむ初詣
男山仰ぎて受くる破魔矢かな
大空に羽子の白妙とどまれり
つく羽子の同じ高さに姉妹
からからと初湯の桶をならしつつ初島田結ひ汚なき割烹着
薮入の田舎の月の明るさよ