和歌と俳句

五十嵐播水

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夏痩の指動かせてサインかな

忌あけの涼み床几を出しにけり

走り咲く萩一枝や避暑の宿

時化あとの浪見に出る避暑の客

湖を見る簾一枚かかげけり

楼の下日覆の舟いつかなし

山かげとなりし港や日覆とる

足もとに波のきてゐるかな

突堤や燈籠流す人ゆきき

負はれたる老も綱とる迎鐘

暁の城の下ゆく墓参かな

白足袋の父にすたがふ墓参かな

はるかなる松蝉をきく静かさよ

道をしへ雨降りいでて失せにけり

病人のつづきてさびし蛍籠

県祭すみたる宇治の蛍狩