五十嵐播水
梅雨晴の柱の裾に日当れり
矢車草すがれて梅雨のあがりけり
流星の俄に太し月の空
夏川をかちわたり見る磨崖仏
竹伐や稚子も佩いたる飾太刀
舟遊祭さ中に鳴ける河鹿かな
緋の袍に萎れかかれる葵かな
唐橋をわたればつづく祭みせ
唐橋をてらす祭の篝かな
看病のひとの更へたる衣かな
玄関に七夕竹や京の宿
鴨川のほとりの宿の星まつり
七夕や京の色紙を買ひにやる
川床へほこぶぼんぼり並べあり
川床のはらはら雨もおもしろし
東山暮れて川床灯りたり
川床更けて西瓜燈籠流れきし
東山暮れてしまひし花火かな