短夜や冷泉橋の潦
松の奥浪音涼し御用邸
青嵐や水担ひゆく松の下
五月雨の又降りかくす東山
五月雨の再び昏し瀧の堂
葉籠りの靑き葡萄や五月雨
竹の葉のしきりに落つる夕立かな
月出でて滝壺にある昏さかな
滝壺や波遡る水馬
灯の下に綻びを縫ふ幟かな
潮焼けの面ひとしき双子かな
日覆をくぐる西日となりにけり
噴水の俄に強くなりにけり
帰省子に父の医学の古びたり
帰省すや雷雨のあとの町さびれ