鶯のしきりに鳴くや避暑の宿
避暑客にくだくる浪の面白や
京泊り大雨の蚊帳を起きやらず
吊り添へて同じくまはる走馬燈
山荘の遠き厠や夜の秋
燈籠を捨てに来つるや浪高し
須磨の浪七夕竹をうち返し
終電車待つや侘しき灯取虫
灯取虫一種にしておびただし
蛇追ひて昼餉の畦に坐りけり
老鶯や徳川道は柴の中
猛犬の女あろじや月見草
遠雷や咲き聳えたる蓮の花
午すぎの虚ろごころや黄睡蓮