和歌と俳句

五十嵐播水

1 2 3 4 5 6 7 8

鶯のしきりに鳴くや避暑の宿

避暑客にくだくる浪の面白や

京泊り大雨の蚊帳を起きやらず

吊り添へて同じくまはる走馬燈

山荘の遠き厠や夜の秋

燈籠を捨てに来つるや浪高し

須磨の浪七夕竹をうち返し

終電車待つや侘しき灯取虫

灯取虫一種にしておびただし

蛇追ひて昼餉の畦に坐りけり

老鶯や徳川道は柴の中

猛犬の女あろじや月見草

遠雷や咲き聳えたる蓮の花

午すぎの虚ろごころや黄睡蓮