和歌と俳句

篠原鳳作

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港より見えて廓の土用干

芭蕉林ゆけば機音ありにけり

玉巻ける芭蕉を活けてありにけり

短夜の守宮しば鳴く天井かな

破れなき芭蕉若葉の静けさよ

榕蔭の昼寝翁は毒蛇捕り

ハブ捕にお茶たまはるやお城番

ハブ捕の嗅ぎ移りゆく岩根かな

ハブ踊る罠ひつ提げて去りにけり

ハブ穴にまぎれもあらぬ匂かな

両側に甘蔗の市たつ阜頭哉

ハブ壺をさげて従ふ童かな

飲食のもの音もなき安居寺

十方にひびく筧や安居寺

一本の沙羅の香りや安居寺

一痕の月も夕焼けゐたりけり

雨蛙をらぬ石楠花なかりけり

門川のあふれてさみし魂祭

荷のしぎし精霊舟となりにけり

大風のあしたを出でて耕せり