和歌と俳句

納涼 涼み

むかしむかし祖父も川へと涼哉 也有

網打の見えずなり行涼かな 蕪村

丈山の口が過たり夕すずみ 蕪村

閻王に勘当うけて夕すずみ 蕪村

床涼み笠着連歌のもどり哉 蕪村

我影を浅瀬に踏てすずみかな 蕪村

夕すゞみ糺の岸や崩らむ 暁台

草の戸や柳すかして夕すゞみ 暁台

蜀黍のもとにかたらふすゞみかな 白雄

舷に蓼摺小木や夕すゞみ 白雄

ゆかしとやひと見む合歓の下涼 白雄

水練の師は敷草のすゞみ哉 太祇

関守の背戸口にたつ凉み哉 太祇

まし水にあやうき橋を凉かな 太祇

松一木馴てすゞみのたよりかな 青蘿

舟に病みし身をうし窓の夕凉 青蘿

笹折て赤蟹なぶる夕すゞみ 青蘿

わすれては坐をあけてまつ夕凉 青蘿

門の木も先つつがなし夕涼 一茶

板塀に鼻のつかへる凉哉 一茶

身の上の鐘としりつつ夕凉 一茶

巾着の殻が流るる夕凉み 一茶

芭蕉翁の臑をかぢつて夕凉 一茶

妻なしが草を咲かせて夕凉 一茶

夜涼みや足でかぞへるゑちご山 一茶

あこよ来よ転ぶも上手夕凉 一茶

人形に茶をはこばせて門すずみ 一茶

銭なしは青草も見ず門凉み 一茶

亰辺や人がひと見て夕すずみ 一茶