青蔓の窓へ皃出す 暑哉
暑き夜や子に踏せたる足のうら
寝むしろや足でかぞへる雲の峰
是程と牡丹の仕方する子哉
凉しさに弥陀同躰のあぐら哉
衣更て居て見てもひとりかな
長の日にかはく間もなし誕生仏
卯の花もほろりほろりや蟇の塚
年寄と見るや鳴蚊も耳の際
馬迄も萌黄の蚊屋に寝たりけり
笠の蝿我より先へかけ入ぬ
時鳥なけや頭痛の抜る程
蝉なくやつくづく赤い風車
水風呂へ流し込だる清水哉
逃て来てため息つくかはつ蛍
萍の花からのらんあの雲へ
人形に茶をはこばせて門すずみ
ままつ子や凉み仕事にわらたたき
一つ 蚊のだまつてしくりしくり哉
麦秋や子を負ながらいはし売
ひいき鵜は又もからみで浮にけり
白山の雪きらきらと暑哉
銭なしは青草も見ず門凉み
寝並んで遠夕立の評議哉
暑き日に面は手習した子かな