和歌と俳句

小林一茶

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青蔓の窓へ皃出す

暑き夜や子に踏せたる足のうら

寝むしろや足でかぞへる雲の峰

是程と牡丹の仕方する子哉

凉しさに弥陀同躰のあぐら哉

衣更て居て見てもひとりかな

長の日にかはく間もなし誕生仏

卯の花もほろりほろりや蟇の塚

年寄と見るや鳴蚊も耳の際

馬迄も萌黄の蚊屋に寝たりけり

笠の我より先へかけ入ぬ

時鳥なけや頭痛の抜る程

なくやつくづく赤い風車

水風呂へ流し込だる清水

逃て来てため息つくかはつ蛍

の花からのらんあの雲へ

人形に茶をはこばせて門すずみ

ままつ子や凉み仕事にわらたたき

一つ のだまつてしくりしくり哉

麦秋や子を負ながらいはし売

ひいきは又もからみで浮にけり

白山の雪きらきらと

銭なしは青草も見ず門凉み

寝並んで遠夕立の評議哉

暑き日に面は手習した子かな