和歌と俳句

皆吉爽雨

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登山道いまは噴煙めざすのみ

仰ぎよる温泉滝のにほふ涼みかな

噴煙の映るに浸す白馬かな

噴煙のいま濃し御する登山馬

炎天尾根につらなる放馬かな

乳ふくむ脚を木の根に鹿の子かな

ゆき交ひし舟は繭の香蛍狩

避暑宿の朝は湯滝のけぶり見ゆ

温泉の香の足の湯くれぬ登山宿

宿の庭明日の登山の馬を見る

夕焼けて明日の馬をり登山宿

ねころんであげゐる杖やお花畑

磧にはならぶ厩や登山宿

客着いて大夜すゝぎや登山宿

雪渓をさきだつ禰宜や御来迎

白蚊帳の大紋どころ避暑の寺

すいすいと杓はしり湧く清水かな

みなかみの修羅また修羅に登山かな

銅蓮に嗽いでさめし昼寝かな

芝暮れて端居の縁と平らなる