和歌と俳句

皆吉爽雨

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見えてその香また来て木の間より

水走る散華つと見え蓮嵐

草々の茂る仔細を見て飽かず

上つ毛の桑海の中簗かかる

ならび出る渡舟瓜舟利根涼し

つむる眼の即ちくぼむ暑気にあり

キャンプ寝て月の西瓜の戸にころげ

醸したる老にもまみえ梅酒飲む

うすものの立ちて総身透かんとす

まくなぎを払ひて景を失はじ

帰るべき西日の道の門より伸び

汗引いて見あぐる橡の葉の五百重

葛の葉となりつつ解かれ落し文

葛しげる湖の泳ぎ場とくさびれ

寝がへりて山遠のきし午睡かな

蝉瀬音いま一すじに昼寝とる

遠雷に代れる発破ひるね覚

ふかぶかと藪に眼をやり昼寝さめ

臥して見る足の遠しも夏を痩せ

蚊帳裾をくぐらす薬暑気中り

腕なでて蚊のあと一つ夜の秋

赴任急暑さいとへといふばかり

みささぎの炎天の野のはや尾花

晩涼の湖の入江は町ふかく