和歌と俳句

夏痩せ 夏負け

夏痩や少き髪の乱れがち みどり女

夏痩もせずただ眠き怖しし しづの女

恋すてふわが名は立ちぬ夏やつれ 草城

夏痩をまをしあひけり家族風呂 草城

おもがげやその夏痩の髪ゆたか 秋櫻子

夏痩のおとがひうすく洗ひ髪 久女

夏痩の頬も色どらず束ね髪 久女

子らたのし夏痩もせず海に山に 久女

ころぶすや蜂腰なる夏痩女 不器男

夏まけとかくしがたなくやせにけり たかし

夏痩の指動かせてサインかな 播水

夏痩の私をまへに似顔絵師 鷹女

夏痩や櫛笄を清らかに 喜舟

夏痩のすでに桔梗咲きにけり 喜舟

夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり 鷹女

夏痩をしてお使ひに顔見せし 汀女

夏痩せの胸のほくろとまろねする 鳳作

梧桐の落花を踏んで夏痩せぬ 鷹女

夏痩せて火星に棲めるかほかたち 鷹女

夏痩せて少年魚をのみゑがく 三鬼

夏痩の帯巾広くしめにけり 立子

ふるさとの山河そびらに夏痩せたり 鷹女

川臭き昼餐夏痩はじまりぬ 波郷

青林檎ひとの夏痩きはまりぬ 波郷

夏痩せて瞳に塹壕をゑがき得ざる 鷹女

黒猫もいたく夏痩せ吾が家に 鷹女

なめくぢも我れも夏痩せひとつ家に 鷹女