和歌と俳句

昼寝 午睡

父の齢しみじみ高き昼寝かな 青畝

昼寝あはれ咽喉の佛のものを言ふ 青畝

銅蓮に嗽いでさめし昼寝かな 爽雨

一片舟昼寝の足裏濤のむた 草田男

ビル街は空地の犬のひるね時 波郷

昼寝覚五重の塔ののしかかり 茅舎

昼寝ざめ身体髪膚百合に沁み 茅舎

潮騒の音響き居り午寝覚め 石鼎

昼寝覚ひとの歎息を背にしたり 楸邨

昼寝覚思ひ出す名はみなちがふ 楸邨

大涅槃の偉いさ想ひ昼寝しぬ 石鼎

雲深く恵那山の大ある昼寝かな たかし

さめにけり汗にまみれしひるねより 万太郎

我生の今日の昼寐も一大事 虚子

中年やよろめき出づる昼寐覚 三鬼

昼寝ざめさびしき妻や子は旅に 草城

スウイングや浅き昼寝のゆめうつつ 草城

昼寝ざめ眼に深みどり口粘る 草城

現実の重囲の裡に昼寝覚む 草城

長昼寝さめけり無為がまたはじまる 草城

壁に倚り長き昼寝をかへりみる 林火

先生の昼寝の蘭花磁枕かな 青畝

潮騒の音響き居り午寝覚め 石鼎

半身を起す他郷の昼寝ざめ 耕衣

現身の何も残らず昼寝覚め 汀女