和歌と俳句

山口誓子

の雨地下に発破をかけつあり

地にこもる発破を聞きぬ蕗の沢

蕗の雨電気機関車燈を照らす

蕗の沢炭車の行ける音はする

うまごやし露頭の石炭をかくすなき

苜蓿に寝墓かしげり丘かしげり

苜蓿に寝墓を銘をのこしける

金鳳華神婢嬰児の墓に咲きぬ

苜蓿天主の婢僕十字のもと

苜蓿や墓のひとびと天に帰せり

船ゆけりの島山を率てゆけり

南風やすすむ前檣綱を統べ

船煙暑き大日輪隠る

籐椅子や海の傾き壁をなす

檣燈を夏の夜空にすすめつつ

夏の夜の満天の星に船檣を

青海を瑞の籬とす避暑の荘

すゞし冬の壁炉は部屋にある

青柿に笑とまらずいとし子等

避暑の荘鎧戸白く夜をささず

闇にしてキヤムプの錘の金色に

洋杖が立てりキヤムプの平砂に

秋の夜の母体と嬰児同じ向きに

秋の夜を生れて間なきものと寝る