空ゆけば十方あかるく枯野黄に
わがとべる翼下に江の凍てかたき
翼揺れて氷る松花江はや過ぎぬ
両岸に燈が見え江は凍てずあり
楼に見て枯野は遠くより来る
楽浪郡枯野をかへし丘を掘りぬ
枯れし丘石階は崩え石かたぶき
枯れし丘石階は踏まれすりて減る
啄木鳥は頸うちふりて寒木に
啄木鳥は嘴かんかんと寒木に
苑に観る寒林の日はつねに西
煖炉にも枯木枯枝影させる
仏国寺駅寒夜の汽車に松明かざす
上天に集りて韓の星凍てし
鵲降りて氷れる水を道に踏む
鵲白く枯木とともに日の翳に
石仏を寒しと昼の日に拝む
釈迦のかげに十一面観音さむからず
柿かぞふ韓の数字のあなおもしろ
陵や邑の轍を枯れ芝に
低き墻五つの陵枯れしよと
冬紅葉長門の国に船着きぬ
冬紅葉故国はかくも天霧らふ