朝顔の二葉より又はじまりし
気にかかる事もなければ梅雨もよし
鉄線にけふは若くものなき庭か
避暑に来て保養といふも仕事かな
避暑の宿蚋を怖れて戸を出でず
ほととぎすかならず来鳴く午後三時
避暑宿に来ても変らぬ起居かな
二つある籐椅子に掛け替へても見
避暑の宿寂寞として寝まるなり
長梅雨の明けて大きな月ありぬ
午前九時始まる避暑の日課かな
昼寝して覚めて乾坤新たなり
影涼し皆濃紫さむらさき
庭木皆よき形なる若葉かな
せせらぎの水音響く鮎の川
いつの間に庭木茂りて梅雨に入る
天暗くなりて明るき薔薇の雨
よき鉢によき金魚飼ひ書を読めり
ダムに鳴く鳥は鶯ほととぎす
蜘蛛の糸の顔にかからぬ日とてなし
山寺に我老僧かほととぎす
山寺に仏も我も黴びにけり
仏生や叩きし蠅の生きかへり
避暑に来て短か羽織を仮りに著て
夏草も一景をなす坊の庭
明易や花鳥諷詠南無阿弥陀
すぐ来いといふ子規の夢明易き
怪談の昨日のつづき涼み台