和歌と俳句

緑陰

緑蔭や歯朶の若葉の奥の石 石鼎

緑蔭の肌に触るる微風かな 石鼎

緑蔭の書屋白骨の蝋燭を 青邨

チンドン屋前後の荷解き緑蔭へ 草田男

チンドン屋緑蔭に吐息紅脚絆 草田男

チンドン屋緑蔭いざ発巷入り 草田男

湯あみせし如く句碑あり緑蔭に 立子

緑蔭の詩碑なり文字を青く彫る 爽雨

緑蔭のもろ根のしかと地にしづみ 爽雨

緑陰の読書の閉ぢて黒表紙 爽雨

緑蔭にありて一歩も出でずをり 虚子

遠景を容れて緑蔭の悶ゆる 耕衣

子を守りて大緑蔭を領したる 虚子

緑蔭の卓また清きひとりかな 汀女

緑蔭のつどひに参じ風下に 草田男

青眼白眼牛の目うごく緑蔭に 草田男

体ぬくし大緑蔭の緑の馬 三鬼

緑蔭の累卵に立ち塩の塔 三鬼

緑蔭に無の樫の顔満つるなり 耕衣

湖いでてすぐ緑蔭の釧路川 秋櫻子

緑蔭に龍骨いまだ舟成さず 青畝

修道女読む緑蔭よわれは旅 汀女

庭にして緑蔭なせば朝な立つ 爽雨

緑蔭へ没るる荘へ濡るる径 風生

仏恩に浸る銀杏の大緑蔭 誓子

老幹の鼎立ちせる緑蔭に 爽雨

緑蔭の深さ憩ひを切に恋ふ 風生

緑蔭に地蔵児を抱く吾も入る 誓子

金色の緑蔭の老いまさる在り 耕衣