山口青邨

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青柿をはねし雨粒文机に

ほのかなる香水をたてわがむすめ

ゼンマイは椅子のはらわた黴の宿

仁丹の銀こぼれつぐ涼しさよ

大学の草に坐りて五月かな

夕焼に壁のマリヤの染まりつつ

夏暖簾割つておはんの現はるる

あるあした書屋の柱這うて

敗れたりききのう残せしビール飲む

蕗の葉に雨蛙ゐるつひに暮れ

恩賜林ふちどるものに額の花

白きひげまじるを剃りて牡丹

浮き沈む牡丹軒より落つる風

百顆の妻はいそいそ酒かもす

風に乗り昇天の情朴の花

緑蔭の書屋白骨の蝋燭を

造花軒にさせば浦風祭来ぬ

蕗の傘させば炎帝穴より見ゆ

北見の日柳絮をそめて落つるなり

オホツクの海けふ荒るる花甘草

うまごやしさはにゆれつつ陽は涼し

この新樹月光さへも重しとす

雨蛙呼び陽明門に雨が降る

天の裂目巌の裂目の滝落つる

ある日妻ぽとんと沈め水中花

虚子の座の用紙いただき牡丹の句

母の日の五月つごもり紅粉の花

夕焼の金板の上水馬ゆく

さるすべり紅白交叉虚子の径

紅粉の花おはんの使来れば剪る

石段に蓮華を刻む露涼し

元禄の黴がにほふよ方四畳

遠最上川暮れゆくががんぼ障子うつ

夜鷹鳴く鳥海までの真の闇

月山の雪痕月のごとくにほふ

蚶満寺植田さざなみ四方にして

けふは見る庄内覆面早苗取

象潟や島をめぐりて田を植うる

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