和歌と俳句

鮎釣の夕かたまけて去に仕度 虚子

継竿の華奢を競ひて鮎仲間 虚子

ところどころ瀬の変りたる鮎の川 虚子

激流を鮎の竿にて撫でてをり 青畝

ならべられつつ口動く鮎を買ふ 青畝

鮎すぐに食うべ終りて端然と 汀女

源の方より朝日鮎よろこぶ 草田男

せせらぎの水音響く鮎の川 虚子

おろさるる激つただ中囮鮎 爽雨

竿先の消えてうちのべ鮎掛くる 爽雨

不幸なる鮎のあがりし竿あがる 風生

鮎焼きしあとの火の香の残りけり 万太郎

鮎釣に象の小川は瀧と落つ 秋櫻子

ほしいまま鮎焼く香あり病家族 波郷