和歌と俳句

天びんや京江戸かけて千代の春 芭蕉

京にても京なつかしやほととぎす 芭蕉

横に降る雨なき京のかな 蕪村

初冬や日和になりし京はづれ 蕪村

そこそこに京見過しぬ田にし売 蕪村

御火焚や霜うつくしき京の町 蕪村

遅き日や谺聞ゆる京の隅 蕪村

夏山や京尽し飛ぶ鷺ひとつ 蕪村

秋風や京の大路の朱傘 子規

伽羅くさき風が吹く也京の 子規

名月や大路小路の京の人 子規

暖き乗合船の京言葉 虚子

秋風や京の寺々鐘を撞く 漱石

京に来てひたと病みつきぬ花盛 子規

藪入のすこし覚えし京言葉 虚子

旅に寒し春を時雨の京にして 漱石

春はものの句にあり易し京の町 漱石

京人の言葉やさしき日傘かな 淡路女

葉柳に山濃く近し京の町 淡路女

やり羽子や油のやうな京言葉 虚子

京の宿簾の外の人通り 青邨

旅せはし花もよそなる京泊 風生

秋の灯のほつりほつりと京の端 草城

京都市にさはりてなびく薄の穂 草城

バスを待ち大路のをうたがはず 波郷

着倒れの京のを見に来り 虚子

尼の香の一筋暑し京都行 波郷

東山西山こめて花の京 虚子

思ひ捨つ一片に京のしぐれかな 汀女